信陵同窓会は令和4(2022)年10月29日(土)、福島市のウェディングエルティで福島大学経済経営学類創立百周年記念大会を開催しました。新型コロナウイルスによる感染拡大が終息の兆しを見せない中での開催でしたが、母校の記念すべき百年を祝おうと全国から約350人の同窓生が集結しました。今回は福島大学と共催の形をとり、記念式典を開催、記念講演会は三浦浩喜学長の講演と経済経営学類在校生による3ゼミ研究発表が行われました。
式典を翌日に控えた10月28日、同窓会役員と大学職員が会場に集結、パンフレットと記念品である菓子の詰め合わせを袋詰めしました。菓子は福島市が生んだ国民的作曲家・古関裕而ゆかりの「福島夜曲」「ハモンドの調べ」と名付けた品。古関裕而は福島高商の校歌「世界の転機に」の作曲者であり、ゆかりの品として選定しました。
パンフレットは記念式典の次第と記念講演会の内容、建立した記念碑の写真と記念事業の概要、福島高商校歌「世界の転機に」、福島大学学生歌「今日の世紀に」の歌詞を掲載、最終面には来賓芳名簿を記載しました。加えて福島大学吹奏楽団の演奏曲とメンバーを紹介したパンフレットを作り、百周年のロゴをプリントした特製のバッグに詰めました。
29日、いよいよ記念大会の本番です。卒回別の受付には創立百周年記念大会実行委員会の委員が陣取りました。福島駅西口にはシャトルバスへの案内を担当する委員を配置、会場に続々と同窓生が来場しました。受付で卒回ごとの色別ネームプレートを受け取り、2階の式典会場に向かいました。会場も卒回ごとに座席を配置しました。
式典は午後1時に開会しました。開会前にビデオ「写真で見る信陵の世紀―同窓の絆」を放映しました。「同窓の絆」に合わせて、「わが青春の甍」のDVDも見ていただきました。この映像は同窓で、多くの作品を作られている村川透監督(大学7回)が監修して、森合校舎惜別記念に信陵同窓会が作成したものを今回復刻しました。
式典の進行はラジオ福島の嘉数夕稀子アナウンサーが務めました。はじめに菅野建二実行委員長(信陵同窓会副会長、福島信陵会長=大学21回))が開式の辞を述べました。菅野実行委員長は「新型コロナウイルスの感染拡大が計画の進行に立ちはだかりましたが、記念すべき百周年大会は何としても実行したいとの思いが強く今日の日を迎えました。世界はロシアによるウクライナへの侵攻など、まさに福島高商の校歌の題『世界の転機に』あります。こうしたなかで私たちは学生歌『今日の世紀に』を高らかに歌いたいと思います。100年の節目はあらためて『信陵の絆』を誓う場です」と述べ、開会を宣言しました。
物故会員へ黙祷を捧げ、大会会長の佐藤慶吾信陵同窓会長(大学18回)が式辞を述べました。佐藤会長は「コロナ禍のなか、創立百周年記念式典が開催できましたことは誠に喜ばしく、皆様方とともにお祝いしたいと思います。信陵同窓会は母校と一体となって取り組んできました。キャッチコピーは『百年の伝統と未来への革新』です。記念事業のメーンである『福大経済100周年基金』充実のためにたくさんのご支援ご協力をいただきました。 心から厚く御礼申し上げます。福島大学経済経営学類の新たなスタートと大学の益々の発展を祈念いたします」とあいさつしました。
続いて三浦浩喜福島大学学長が「1922年の開校から創立百周年を迎えられ、本日、式典を開催されましたこと、心よりお祝い申し上げます。大正、昭和、平成、令和と強いエネルギーで乗り越えてこられました。1981年に金谷川への新キャンパス移転が完了し、大学は2学部が5学類になりました。伝統と革新による自己変革に期待しています」と挨拶。続いて末吉健治経済経営学類長が「各界で活躍されている卒業生の皆様、在校生とともに百周年をお祝いしたいと思います。本学はグローバルな視野を持ち、地域で活躍する人材の育成とアクティブラーニングを進めております。百年の伝統あっての改革の歴史であり、今後ともご支援をお願いいたします」と述べました。
来賓紹介に移り、壇上に居並ぶ鈴木正晃副知事、木幡浩福島市長、渡邊博美福島県商工会議所連合会長(福島商工会議所会頭)=大学18回、佐藤稔東邦銀行頭取=大学31回、樋口郁雄福島信用金庫理事長、芳見弘一福島民報社社長、菊池克彦福島民友新聞社常務取締役を紹介しました。
鈴木副知事は「大正11年の開校以来、優秀な人材を輩出され、地域経済の発展に大きな役割を果たしてこられました。100周年を心よりお祝い申し上げます」、続いて木幡市長が「開校以来、2万5千人余の人材が各界で活躍されてきました。本日ご出席の渡邊博美福島商工会議所会頭、佐藤稔東邦銀行頭取は福島県の経済をリードされております。福島市は信陵同窓から市長が3人出ており、市長の片腕の副市長ら多くの卒業生が活躍しています。福島の復興と創生のため今後ともご支援いただきますよう」とそれぞれ来賓祝辞を述べ、福大経済百周年をお祝いしました。
鈴木福島県副知事からのごあいさつ
木幡福島市長からのごあいさつ
百周年記念事業では、世界に飛躍し、地域でも活躍する「グローカル人材」育成のために「福大経済100周年基金」を創設、全国の同窓生や賛意を示された企業からの浄財、5500万円を大学に贈りました。このほか経済経営学類棟入口に建立した創立百周年記念碑、学類棟二階に整備した同窓生と在学生の交流施設「信陵ラウンジ100」整備、創立60周年記念「信陵公園」リニューアルなどを進め、式典席上、目録を佐藤会長から三浦学長に手渡しました。これに対して福島大学から信陵同窓会へ感謝状が贈られました。三浦学長から佐藤会長に手渡しされました。
続いて長年にわたって同窓会の発展充実に努められた信陵同窓会歴代会長に感謝状が贈られました。式典に出席した第11代中川治男氏(大学3回)、第12代平子健氏(大学9回)、第13代永倉禮司氏(大学15回)にそれぞれ感謝状と記念品が佐藤会長から手渡されました。なお、第10代会長の小室保人氏(大学1回)には記念大会後の11月8日に佐藤会長と菅野実行委員長が福島市内のご自宅を訪れ、小室氏に感謝状と記念品を贈らせていただきました。
写真:歴代会長に感謝状贈呈 左上/中川治男氏 右上/平子健氏 左下/永倉禮司氏
記念式典は滞りなく進み、鈴木恒雄信陵同窓会副会長(東京信陵会長=大学23回)が閉式の言葉を述べました。鈴木副会長は「母校の創立100周年記念式典に多数お集まりいただきありがとうございました。ご来賓の皆様からは力強く、温かいお言葉を賜りました。100年に一度の式典。コロナ禍ではありましたが、全国から出席を希望された皆さんには全員おいでいただきました。私も同期の友人と前日に福島入りし、4年間の青春の光と影を求めて福島の街を歩き、鳥政食堂でホルモン焼きを懐かしく、おいしくいただきました。おかげをもちまして記念式典は滞りなく進行しました。ご出席の皆様のご健勝とご多幸を祈念し、閉会の言葉といたします」と述べ、式典を締めくくりました。
記念式典に続いて福島大学吹奏楽団による記念演奏会が催されました。楽団員25人が特別に用意されたステージに登場、この日のために練習してきた4曲を披露しました。コロナ禍のために思うような演奏活動ができなかった楽団でしたが、堂々と迫力ある演奏を出席した同窓生に披露しました。曲目は福島高等商業の校歌「世界の転機に」で始まり、続いて「祝典行進曲」「威風堂々」を演奏しました。最後は学生歌「今日の世紀に」で締めくくりました。プログラムに記載された歌詞を見ながら静かにくちずさむ皆さんもいました。本来なら声高らかに歌いたい「学生歌」ですが、コロナ禍の影響はこんなところにも及びました。
記念演奏会に続いての記念講演会では、三浦学長が「東日本大震災後の取り組みとこれからーVUCA社会における福島大学の使命」と題して講演しました。三浦学長は森合から始まり、金谷川移転後の母校の歴史をたどりながら、東日本大震災における大学が果たした多くの役割について話しました。VUCAはVolatility(予測不能)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の英語の頭文字をとり、予測が困難な時代を表す言葉で、三浦学長はコロナ禍、ウクライナ紛争、円安など現在の状況と気候変動、巨大地震、人口減少など今後の対応すべき課題を挙げ、今こそ改革が求められていることを強調しました。
つづいて行われた学生発表では、吉田樹ゼミが「地域活性化に資するモビリティのデザイン」、村上早紀子ゼミが「地域という研究の場で学び出会うことー村上ゼミの活動―」、藤原遥ゼミが「住民参加型まちづくりに関する研究」について発表が行われました。吉田ゼミは会津若松市で取り組んでいるタクシーデリバリーや交通を生かしたまちづくりの実践例を報告しました。村上ゼミは須賀川市や小野町で取り組んでいるまちづくりの実践例を報告。藤原ゼミは「阿武隈地域における暮らしの再生」をテーマに過疎化が進む田村市都路町頭ノ巣集落での取り組みや三春町の街づくりの例を報告しました。
最後に大会会長を務めた佐藤慶吾信陵同窓会長が「三浦学長の講演、ゼミの皆さんの研究発表、吹奏楽団の演奏が大会に大きな花をそえていただいた。長時間にわたって記念大会に参加いただいた同窓会員の皆様、ありがとうございました」と謝辞を述べ、3時間にわたった記念大会を締めくくりました。
大会会場には、懐かしい森合校舎などの写真パネルや福島大学のPRコーナーも設けられました。
式典終了後は同期会を開催する出席者はそれぞれの会場に向かい、旧交を温めました。
今回はコロナ禍もあり、福島市の会場に来られない同窓生のために、オンラインで中継しました。中継はユーチューブで配信され、開会から閉会までの一連の流れが鮮明な映像で流されました。下記のQRコードもしくはこちらからご覧ください。